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第5土曜特集 循環器病学の未来──基本計画から考える循環器病学のグランドデザイン
大きく変貌する循環器疾患の診療と研究
臨床ビッグデータをどう循環器予防に活かすか?
How to utilize clinical big data for cardiovascular prevention
金子 英弘
1
,
松岡 聡志
2
Hidehiro KANEKO
1
,
Satoshi MATSUOKA
2
1東京大学医学部附属病院循環器内科先進循環器病学講座
2新東京病院心臓内科(循環器内科)
キーワード:
心血管疾患
,
予防循環器学
,
リアルワールドデータ
,
腫瘍循環器学
,
若年成人(young adult)
Keyword:
心血管疾患
,
予防循環器学
,
リアルワールドデータ
,
腫瘍循環器学
,
若年成人(young adult)
pp.1370-1378
発行日 2022年12月31日
Published Date 2022/12/31
DOI https://doi.org/10.32118/ayu283141370
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健康寿命の延伸と医療費増大の抑制は,わが国の健康施策における重要な課題である.心血管疾患はわが国の主な死因であり,健康寿命や医療費への影響も大きい.したがって,健康寿命の延伸と医療費増大の抑制とを達成するために,心血管疾患の予防,とりわけ一次予防はとても重要である.一次予防を実践するうえで,わが国における疫学データ,臨床エビデンスの確立は必須である.今日,臨床エビデンスの構築には無作為化比較試験(RCT)がゴールデンスタンダードとなっている.しかし,一次予防の対象となる一般集団での心血管疾患発症率は二次予防を対象とする集団と比較して低く,説得力のある知見を得るためには膨大なサンプル数あるいは長期にわたるフォローアップが必要となる.したがって,実行性という点で考えた場合に,一次予防のエビデンスを構築するうえで,RCTを一つひとつの課題について行うのは現実的でない.この点で,膨大な症例数の巨大な情報量が含有されている “リアルワールドデータ研究” は優位性を持つ.わが国には,ほぼすべての国民を対象とする国民皆保険制度と充実した健康診断制度が整備されており,これらのデータを統合することで得られるリアルワールドデータは貴重な医療ビッグデータとしての可能性を有している.今後,このようなリアルワールドデータ分析を深め,予防医学の社会実装へ発展させていくことが重要である.
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