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第5土曜特集 循環器病学の未来──基本計画から考える循環器病学のグランドデザイン
慢性炎症・多臓器連関・メカニカルストレスから捉える循環器疾患
腸内細菌は循環器疾患の原因か
Are gut microbiota causes of cardiovascular diseases?
山下 智也
1
,
平田 健一
2
Tomoya YAMASHITA
1
,
Ken-ichi HIRATA
2
1神戸大学大学院科学技術イノベーション研究科先端医療学分野
2同医学研究科内科学講座循環器内科学分野
キーワード:
腸内細菌
,
冠動脈疾患
,
心不全
,
トリメチルアミンNオキシド(TMAO)
Keyword:
腸内細菌
,
冠動脈疾患
,
心不全
,
トリメチルアミンNオキシド(TMAO)
pp.1250-1256
発行日 2022年12月31日
Published Date 2022/12/31
DOI https://doi.org/10.32118/ayu283141250
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超高齢社会となった日本において,死亡原因としての心疾患はがんに次いで第2位であり,脳血管疾患も含めて “動脈硬化,循環器疾患” と考えると,全死亡の1/4を占める.さらに,健康寿命の延伸を目標に掲げるわが国において,寝たきりを含めた要介護の4人に1人が循環器疾患を原因とするので,循環器疾患への対策は急務である.高齢化で患者数の増加が顕著な不整脈である “心房細動” と弁膜症である “大動脈弁狭窄症” は心不全の原因となり,確かに治療法は進歩しているものの医療費の増加につながり,医療費負担の軽減も含めた新たな解決法の開発が望まれる.筆者らは動脈硬化,心不全を含めた,加齢が関わる循環器診療における問題の解決手段として “腸内細菌叢” に着目し,臨床と基礎の両方から研究を進めている.すでに冠動脈疾患,心不全,心房細動に特徴的な腸内細菌叢のパターンを報告しており1-7),本稿では,現在までの日本人における循環器疾患と腸内細菌の研究成果を中心に概説し,タイトルの疑問に対しての答えを検証したい.
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