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第1土曜特集 遺伝性神経・筋疾患――診療と研究の最前線
診断技術の進歩
RNA-seq技術を用いた遺伝性筋疾患診断
Diagnosis of inherited muscle diseases using RNA-seq
大久保 真理子
1
,
林 晋一郎
1
Mariko OKUBO
1
,
Shinichiro HAYASHI
1
1国立精神・神経医療研究センター 神経研究所 疾病研究第一部
キーワード:
トランスクリプトーム解析(RNA-seq)
,
ロングリードシーケンス
,
in silico解析
Keyword:
トランスクリプトーム解析(RNA-seq)
,
ロングリードシーケンス
,
in silico解析
pp.920-925
発行日 2022年12月3日
Published Date 2022/12/3
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28310920
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遺伝性筋疾患に対する遺伝学的解析は,筋病理診断をもとに次世代シーケンサー(NGS)を用いたターゲットリシーケンス,全エクソームシーケンス(WES)が主流である.しかし,既存の解析では3~5割程度の診断率であり,診断率向上のため近年ではトランスクリプトーム解析が注目されている.今回,筆者らは遺伝学的に未解決なデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)/ベッカー型筋ジストロフィー(BMD)患者の骨格筋を用いてトランスクリプトーム解析(RNA-seq)を行い,種々のトランスクリプト異常を同定した.さらに,ロングリードシーケンスを併用することで複雑なゲノム,染色体レベルの構造異常の同定に至った.また,検出したイントロン変異の病的意義を判断するためにin silico解析が有用であった.このようにRNA-seqは遺伝性筋疾患において診断率を上げるための重要なツールであると考えられ,今後は網羅的解析のためのパイプライン構築が期待される.
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