Japanese
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TOPICS 腎臓内科学
蛋白尿発症の分子メカニズム
-――ネフローゼ症候群の成因
Pathogenic mechanism of proteinuria
河内 裕
1
Hiroshi KAWACHI
1
1新潟大学大学院医歯学総合研究科腎研究センター腎分子病態学分野
pp.156-157
発行日 2022年7月9日
Published Date 2022/7/9
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28202156
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スリット膜のバリア構造
蛋白尿は糸球体毛細血管のバリア機能の低下によりもたらされる.糸球体毛細血管壁は内皮細胞,基底膜,そしてその外側に位置する糸体上皮細胞(ポドサイト)の3層で形成されている.1990年代の終わりごろまでは糸球体基底膜がメインバリアであると考えられていたが,現在はその外側に位置するポドサイトがバリアとして最も重要な働きをしていると考えられている.ポドサイトは増殖能を持たない終末分化細胞で,足突起とよばれる特徴的な突起を有している.足突起は,別の細胞体から出た突起が隣り合うように絡み合って糸球体基底膜の外側を覆っている.隣り合う足突起はスリット膜とよばれるジッパー様の構造物で連結されている.スリット膜はおおよそ14×4nmの大きさの孔を持ち,血漿タンパクの主成分であるアルブミンはこの孔を通過することができない1).近年,スリット膜の分子構造の解明が進められ(図1),蛋白尿発症の分子メカニズムが明らかになってきた2).
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