REVIEW & PREVIEW
糸球体性蛋白尿の発症機序
河内 裕
1
,
福住 好恭
1
1新潟大学大学院医歯学総合研究科附属腎研究施設分子病態学分野
pp.1567-1569
発行日 2014年8月10日
Published Date 2014/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402107726
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慢性腎不全による血液透析患者数は30万人を超え,また,腎不全の予備軍と考えられている慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)患者数は,1,300万人(日本人全人口の8人に1人)と報告されている.蛋白尿は糸球体の障害を示す重要な指標で,高度な蛋白尿による低蛋白血症はさまざまな病態を引き起こす.また,尿細管は,糸球体のバリアから漏出した血漿蛋白を再吸収しようとすることにより,過重な負荷,傷害を受けるため,蛋白尿は,それ自体が腎不全へと進行させる最も重要な悪化因子となる.
したがって,蛋白尿を抑制,改善することができれば腎不全への進行を遅らせることができる.最近の疫学的な研究では,蛋白尿陽性者の脳・心血管イベントの発症率は陰性者の約3倍と報告されている.このような状況下にあって,蛋白尿を改善させるための新規治療法開発に向けた研究は喫緊の課題である.
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