Japanese
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第1土曜特集 基盤病態としての慢性炎症
慢性炎症が促進する発がんと悪性化
Chronic inflammation that promotes cancer development and progression
大島 浩子
1
,
中山 瑞穂
1
,
大島 正伸
1
Hiroko OSHIMA
1
,
Mizuho NAKAYAMA
1
,
Masanobu OSHIMA
1
1金沢大学がん進展制御研究所腫瘍遺伝学研究分野
キーワード:
慢性炎症
,
微小環境
,
腫瘍随伴マクロファージ(TAM)
,
がん関連線維芽細胞(CAF)
Keyword:
慢性炎症
,
微小環境
,
腫瘍随伴マクロファージ(TAM)
,
がん関連線維芽細胞(CAF)
pp.86-91
発行日 2022年7月2日
Published Date 2022/7/2
DOI https://doi.org/10.32118/ayu2820186
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多くのがん組織は炎症反応を伴っており,非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs)の長期服用ががんのリスクを低減することから,炎症反応は積極的に発がん促進に関与すると考えられた.炎症に関連するシグナル経路のなかでも,シクロオキシゲナーゼ2(COX-2)依存的なプロスタグランジンE2(PGE2)が,発がん促進に中心的な役割を果たすことが遺伝学的な解析で明らかにされた.COX-2/PGE2活性化により形成される微小環境では,腫瘍随伴マクロファージ(TAM)や,がん関連線維芽細胞(CAF)が活性化し,サイトカインや増殖因子,活性酸素種(ROS)の産生により,がん細胞の未分化性の維持や生存・増殖が促進される.このような炎症反応により形成される腫瘍微小環境は,発がんだけでなく転移巣の形成にも関与すると考えられている.したがって,がんにおける慢性炎症反応の制御は,発がんや転移の予防戦略としても期待される.
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