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グリオーマの浸潤に密接に関与していると思われる細胞接着因子の中で,とくに,インテグリンとそのリガンドである細胞外マトリックス蛋白,および神経細胞接着因子L1について概説した。インテグリンの中で,α3β1はグリオーマ細胞・組織ともに高発現がみられ,グリオーマと細胞外マトリックスとの相互作用により接着や運動,浸潤に直接関与していると思われる。α3β1の特異的リガンドはラミニン-5で,グリオーマ細胞は自己の産生するラミニン-5とその受容体であるα3β1との結合により,接着斑形成を介して細胞接着と運動へのシグナルを発信すると考えられる。ラミニン-5によるグリオーマ細胞の運動能および浸潤能促進効果は他のマトリックス分子に比べきわめて強く,その分子機序の一つとして,低分子量GTP結合蛋白質Rhoの活性化が弱いことに起因する接着斑の低形成が示唆された。一方,グリオーマは,神経接着因子L1のアイソフォームであるLlcsを発現しており,ニューロンに発現しているL1とのホモフィリックな結合により,in vivoにおいて神経線維に沿ったグリオーマ細胞の移動に関与している可能性が示唆された。
Interaction of glioma cells and extracellular matrices is one of the key steps in the process of glioma invasion in which the stimulated cell adhesion and migration play an important role. Among various cell adhesion molecules, gliomas express integrinα3β1 as a major receptor for the extracellular matrix both in vivo and in vitro. Since laminin-5 has been shown to be a specific ligand for integrinα3β1, we examined effects of laminin-5 on the adhesion, migration and invasion of malignant glioma cells.
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