Japanese
English
TOPICS 生理学
レム睡眠中の大脳血流量の大幅な上昇の直接的な証拠
-――睡眠中の脳のリフレッシュ機構の解明に向けて
Direct evidence of elevated cerebral blood flow during REM sleep:toward elucidating the brain refreshing mechanism during sleep
蔡 佳容
1
,
菅沼 貴也
1
,
林 悠
1,2
Chia-Jung TSAI
1
,
Takaya SUGANUMA
1
,
Yu HAYASHI
1,2
1筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構(WPI-IIIS)
2京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻
pp.776-777
発行日 2022年5月14日
Published Date 2022/5/14
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28107776
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睡眠とその機能
哺乳類の睡眠は,レム(急速眼球運動)睡眠(鮮明な夢をよく見る睡眠)とノンレム(非急速眼球運動)睡眠の2つから構成される.これら2種類の睡眠は,哺乳類や鳥類を含む一部の脊椎動物でのみ観察される1,2).ノンレム睡眠中に起こる成長ホルモン分泌の増加3,4)や,コルチゾール分泌の抑制5),グリンパティックシステムの活性化(脳の老廃物の排除に寄与)6)などの現象は,ノンレム睡眠の脳機能の維持や代謝への関与を裏づけるものである.一方,レム睡眠中の生理的変化やレム睡眠そのものが健康維持にどのくらい重要であるかについてはあまり知られていない.最近ではレム睡眠が少ないとアルツハイマー病などの認知症発症のリスクが上昇することがわかってきている7).したがって,レム睡眠もまた,脳機能の維持に関わり,認知症の発症予防に重要である可能性が考えられる.
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