Japanese
English
第1土曜特集 1型糖尿病――診療と研究の最前線
診療上の課題
低血糖の病態と対処法
Pathogenesis and treatment of hypoglycemia in type 1 diabetes
松久 宗英
1
Munehide MATSUHISA
1
1徳島大学先端酵素学研究所糖尿病臨床・研究開発センターセンター長・教授
キーワード:
重症低血糖
,
無自覚性低血糖
,
低血糖関連自律神経応答不全
Keyword:
重症低血糖
,
無自覚性低血糖
,
低血糖関連自律神経応答不全
pp.648-652
発行日 2022年5月7日
Published Date 2022/5/7
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28106648
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インスリン治療が不可欠な1型糖尿病は低血糖の発症リスクが著しく高い.とくに,回復に第三者の介助が必要な重症低血糖が高頻度に発症し,その背景にはインスリン治療はもとより低血糖に対するグルカゴン分泌の応答不全や,低血糖の反復,糖尿病性神経障害,睡眠,運動などに関連する無自覚性低血糖があげられる.それに対し,アナログインスリン製剤,持続血糖モニタリング(CGM),さらにインスリンポンプの自動化アルゴリズムなど医薬品と医療技術の技術開発が進められ,低血糖の発症をある程度抑制できるようになった.また,医療技術の革新とともに日常生活に潜む低血糖の要因,その症状や閾値,さらに対処法についての系統だった教育が低血糖の予防と無自覚化の抑制に重要であることが示されている.さらに,重症低血糖時に家族によるグルカゴン投与が点鼻製剤により簡便になった.1型糖尿病において,先進医療と教育を両輪に重症低血糖の予防に努めることが医療者の使命である.
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