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第1土曜特集 喘息の発症メカニズムと治療・管理
病態
マスト細胞と好塩基球
Mast cells and basophils
權 寧博
1
,
山田 志保
1
,
福田 麻美
1
Yasuhiro GON
1
,
Shiho YAMADA
1
,
Asami FUKUDA
1
1日本大学医学部内科学系呼吸器内科学分野
キーワード:
マスト細胞
,
好塩基球
,
IgE受容体(FcεRI)
Keyword:
マスト細胞
,
好塩基球
,
IgE受容体(FcεRI)
pp.42-45
発行日 2022年4月2日
Published Date 2022/4/2
DOI https://doi.org/10.32118/ayu2810142
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マスト細胞は1878年,好塩基球は1879年,いずれも化学療法の父であるPaul Erlichによってその存在が明らかにされた1,2).マスト細胞と好塩基球の顆粒には高度に硫酸化されたムコ多糖類であるヘパリンやコンドロイチン硫酸が大量に含まれており,その結果として塩基性の色素により強く染色される.1970年に石坂らにより,これらの細胞はともに細胞膜上に高親和性IgE受容体(FcεRI)を強く発現し,IgE抗体を介してヒスタミンなどのメディエーターを放出することが発見された.以上の性質はマスト細胞と好塩基球のみに存在し,他の細胞にはないことから,マスト細胞と好塩基球には類似した機能や役割があると想定されてきたが,とくに好塩基球の機能については長らく生体における役割が明らかにされてこなかった.近年,分子生物学的・細胞生物学的な研究が進み,マスト細胞の機能の詳細と,好塩基球についても病態における機能が解明されてきている.本稿では,かつてはメタクロマジー細胞ともよばれ,類縁細胞と考えられていた2つの細胞の機能的相違点について概説し,これら細胞のアレルギー性炎症における役割について概説する.
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