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第5土曜特集 現代の臨床研究のための統計学2022――洗練された研究デザインと統計解析を理解してみよう
方法論の近年の発展
抗悪性腫瘍薬の用量探索試験のためのベイズ流適応的デザイン
-――3+3デザインからの脱却
Bayesian adaptive designs for anti-cancer dose-finding trials
――Break away from the 3+3 design
大門 貴志
1
Takashi DAIMON
1
1兵庫医科大学医学部医学科専門部門(基礎医学系学科目)医療統計学
キーワード:
用量探索デザイン
,
アルゴリズム/規則基盤型デザイン
,
モデル基盤型デザイン
,
モデル支援型デザイン
,
用量拡大コホートのためのデザイン
Keyword:
用量探索デザイン
,
アルゴリズム/規則基盤型デザイン
,
モデル基盤型デザイン
,
モデル支援型デザイン
,
用量拡大コホートのためのデザイン
pp.451-459
発行日 2022年1月29日
Published Date 2022/1/29
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28005451
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抗悪性腫瘍薬の早期臨床試験は,その後の後期臨床試験で用いる最適な用量を探索することから “用量探索試験” とよばれる.このためのデザインとしていわゆる “3+3デザイン” が慣例的に用いられ,医師主導の試験の場ではいまなお根強く用いられている.ただし,3+3デザインはいくつかの問題点を抱えており,これらの解決のために多くのデザインが開発されてきている.これらのいくつかは,ベイズ流学派の統計的推測方式に依拠しており,3+3デザインよりも確固たる統計的論拠とともに優れた性能を誇る.さらに,デザインによっては3+3デザインと同等の扱いやすさも有することから,最近では医薬品の承認申請のための治験の場で積極的に活用されている.本稿では,これらの代表的なデザイン,ならびにそれらに付随して設定されることの多い用量拡大コホートおよびそのデザインについて記述し,用量探索試験デザインの最近の発展についても言及する.臨床家と統計家の両者は,抗悪性腫瘍薬の最適用量を精確に探索かつ決定することを目指すならば,単なる扱いやすさを理由に3+3デザインに安住することなく,よりよいデザインを用いるべきである.
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