小児・AYAがんの長期フォローアップ

Long-term follow-up for survivors of childhood, adolescent and young adult cancers

　過去50年において小児がんの治療法の開発・確立は進み，小児がんの80％近くが長期生存可能となった．しかし同時に，原疾患の治療後に歳を重ねた生存者の健康状態に影響を及ぼす “晩期合併症” の存在が明らかとなった．これは近年の研究により，AYA（思春期・若年成人）世代のがんにおいても注目されるようになり，小児・AYAがんサバイバーの長期フォローアップ（LTFU）の重要性が認識されるようになった．治療を終え，青年期を迎え，さらに社会の中心となる小児・AYAがんサバイバーの生涯にわたる生活の質（QOL）の向上のためには，治療・診断時から長期フォローアップを念頭に，患者それぞれに起こりうる晩期合併症のリスクとその対策を，医療者と患者がともに把握することにより，小児医療から成人医療へのスムーズな移行（トランジション）を成功させ，さらには地域医療との連携も加え，患者自身の健康管理に対する自立を支える必要がある．小児・AYAがんサバイバーのフォローアップを途絶えさせてはならない．