連載 ユニークな実験動物を用いた医学研究・Vol.6
ヒツジ:胎仔を用いた先進医学研究
阿部 朋行
1
,
長尾 慶和
2
Tomoyuki ABE
1
,
Yoshikazu NAGAO
2
1自治医科大学先端医療技術開発センターオープンサイエンスラボラトリー
2宇都宮大学農学部附属農場
キーワード:
ヒツジ胎仔
,
ヒト血液キメラ
,
ヒト胎児モデル
Keyword:
ヒツジ胎仔
,
ヒト血液キメラ
,
ヒト胎児モデル
pp.310-316
発行日 2021年10月23日
Published Date 2021/10/23
DOI https://doi.org/10.32118/ayu27904310
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Summary
ヒツジといえば,多くの読者が羊毛あるいは羊肉のための産業動物を思い起こすであろう.ヒツジは医学研究を支える実験動物としても活躍している.ヒツジ胎仔には外科的侵襲に耐性があり,注射針穿刺による細胞移植や子宮外への露出を伴う外科処置などのさまざまな操作を行っても流産しにくい.このような性質をいかし,筆者らは胎仔肝臓内を介してヒトiPS細胞由来の血液を作るキメラヒツジの作出に成功した.また,ヒト胎児モデルとして活用し,先天性疾患に対する子宮内外科手術の手技開発・技術トレーニングや,母児間の薬物動態を解明する研究を行ってきた.本稿では,他の動物にはないヒツジ独特の性質に焦点を当てながら,人間の病気やその処置法の開発に貢献するヒツジを用いた先進医学研究を紹介する.
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