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第1土曜特集 構造生命科学による創薬への挑戦
構造解析から創薬へ
複合体構造に基づく薬物設計による新規抗菌薬リード開発への取り組み
Efforts to develop new antibacterial drug leads by drug design based on complex structures
山本 一貴
1
,
市川 聡
1
Kazuki YAMAMOTO
1
,
Satoshi ICHIKAWA
1
1北海道大学大学院薬学研究院創薬科学研究教育センター有機合成医薬学部門
キーワード:
薬剤耐性菌
,
MraY
,
GPT
,
構造活性相関研究
Keyword:
薬剤耐性菌
,
MraY
,
GPT
,
構造活性相関研究
pp.566-572
発行日 2021年8月7日
Published Date 2021/8/7
DOI https://doi.org/10.32118/ayu27806566
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近年,既存の抗菌薬が効かない薬剤耐性菌が蔓延し,公衆衛生上深刻な問題となりつつある.細菌細胞壁であるペプチドグリカンの生合成は,古くから抗菌薬の標的となってきたが,既存の抗菌薬にはほとんどすべて耐性菌が出現している.したがって,既存の耐性機構とは交差せず,新たな作用機序を有する新規抗菌薬の開発が急務である.MraYはペプチドグリカン生合成酵素のひとつであり,MraY阻害は細菌にとって致死的であるとともに,既存の標的とは異なることから,新規抗菌薬のターゲットとして期待される.ツニカマイシンは,MraYを阻害することで抗菌活性を示すことから,新規抗菌薬リード候補のひとつとなりうる.しかし,ヒトのGPTを阻害することで細胞毒性を示すことから,そのままでは抗菌薬として開発することはできなかった.近年,標的酵素との複合体構造が解かれ,これらをもとにGPTを阻害しない誘導体が開発されている.これらの誘導体は,新規抗菌薬リード候補となることが期待される.
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