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SNAREタンパク質は,小胞とターゲット膜の融合を司るタンパク質ファミリーである1,2)。細胞内の分泌経路の種々のオルガネラに固有の分子種が存在しており,動物細胞では少なくとも36種類の存在が報告されている。SNAREは60-70アミノ酸からなるα-ヘリックス構造(SNAREモチーフ)を有し,多くの分子種ではこのモチーフの後にC末端膜貫通領域が存在する。SNAREは,小胞側に存在するv(vesicle)-SNARE(構造的特徴からR-SNAREとも呼ばれる)とターゲット膜側に存在するt(target)-SNARE(別名Q-SNARE。Q-SNAREはさらにQa,Qb,Qcの3種類に分類される)に分けられ,前者からは1本,後者からは3本のSNAREモチーフがもたらされ,それらが強固に結合することで膜融合が引き起こされると考えられている(図1)3)。SNARE複合体の結合は強固であり,この複合体を解離させるためには,NSF(N-ethylmaleimide-sensitive factor)というシャペロン様のATPaseが必要である。NSFはSNAP(soluble NSF attachment protein)を介してSNARE複合体に結合する。
SNAREは最初,脳抽出液のSNAP(SNAPにはα,β,γの3種類がある)に結合するタンパク質として同定された(それゆえ,SNAP receptor)3)。脳SNAREはsyntaxin 1(Syn1),SNAP-25,VAMP-2から構成され,これらはいずれもシナプス小胞の開口分泌に関与するタンパク質として既に同定されていた。Syn1とSNAP-25はt-SNAREであり,前者からは1本,後者からは2本のα-ヘリックスが供給され,一方,v-SNAREであるVAMP-2からは1本のα-ヘリックスが供給される。
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