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特集 災害医療対応の最前線――近年の災害対応からの教訓
災害時診療情報管理の最前線
-――災害診療記録/J-SPEED
The flont line of clincial informatin management of the emergency medical team
――The emergency medical team minimum data set
久保 達彦
1
Tatsuhiko KUBO
1
1広島大学大学院医系科学研究科公衆衛生学
キーワード:
災害診療記録
,
J-SPEED
,
J-SPEED+
,
J-SPEEDオフサイト解析支援チーム
,
Emergency Medical Team Minimum Data Set
Keyword:
災害診療記録
,
J-SPEED
,
J-SPEED+
,
J-SPEEDオフサイト解析支援チーム
,
Emergency Medical Team Minimum Data Set
pp.587-591
発行日 2021年5月22日
Published Date 2021/5/22
DOI https://doi.org/10.32118/ayu27708587
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東日本大震災時,わが国には標準的なカルテ様式がなかったため災害医療チーム間での診療情報の引継ぎが困難で,また診療日報様式も未整備だったため,対策本部は災害医療チームがどこで,どのような患者を,何人診療したかを把握することができなかった.この教訓化を目指して標準様式として提唱されたのが,災害診療記録とJ-SPEED診療日報である.両様式によって現在ではチーム間の診療情報の引継ぎに加え,対策本部が被災傷病者の地理分布ならびに疾病構造を把握できるようになった.同成果に注目したWHOは,J-SPEED方式をWHO国際標準Emergency Medical Team Minimum Data Set(MDS)として採択し,MDSは海外の災害現場でも実用されている.東日本大震災を契機としてわが国で磨かれた災害時診療情報管理技術は,この10年の間にWHO国際標準となり,世界中の災害医療活動をデータに基づき調整できるものに変革しつつある.予見される南海トラフ大地震などを迎え撃つために,国内のみならず国際も巻き込んだ災害時の診療情報管理体制のさらなる強化が期待される.
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