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第1土曜特集 二次性心筋症──Present and Future
収縮不全を主徴とする二次性心筋症
原発性中性脂肪蓄積心筋血管症
Primary triglyceride deposit cardiomyovasculopathy
平野 賢一
1
Ken-ichi HIRANO
1
1大阪大学大学院医学系研究科中性脂肪学共同研究講座
キーワード:
Adipose triglyceride lipase(ATGL)
,
心不全
,
中性脂肪蓄積心筋血管症(TGCV)
Keyword:
Adipose triglyceride lipase(ATGL)
,
心不全
,
中性脂肪蓄積心筋血管症(TGCV)
pp.418-425
発行日 2021年5月1日
Published Date 2021/5/1
DOI https://doi.org/10.32118/ayu27705418
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中性脂肪蓄積心筋血管症(TGCV)は,2008年にわが国の心臓移植待機症例から見出された新規疾患概念である.細胞内中性脂肪(TG)分解の障害の結果,心筋細胞,血管平滑筋細胞にTGが蓄積し,治療抵抗性の心不全,冠動脈疾患を生じる.筆者らは,2009年から厚生労働省,日本医療研究開発機構の難治性疾患関連事業として本症の病態解明,診断法・治療法の開発を行っている.TGCVは細胞内TG分解の必須酵素であるadipose triglyceride lipase(ATGL)遺伝子のホモ型変異を持つ原発性と,今のところ遺伝的原因が不明な特発性に分類される.本稿では,原発性TGCVについて述べる.2020年までにわが国において11例の原発性TGCVが診断されている.心不全の発症年齢は平均38歳.7例がすでに死亡している.原発性TGCVはきわめてまれではあるが,心不全の原因として鑑別すべき疾患である.本症の診断には末梢血スメア標本における多形核白血球の空胞形成(ジョルダン異常)所見がきわめて重要である.
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