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第1土曜特集 二次性心筋症──Present and Future
肥大を主徴とする二次性心筋症
ダノン病
Danon disease
尾上 健児
1
Kenji ONOUE
1
1奈良県立医科大学循環器内科
キーワード:
LAMP2
,
二次性肥大型心筋症
,
グリコーゲン蓄積
,
ウォルフ・パーキンソン・ホワイト(WPW)症候群
Keyword:
LAMP2
,
二次性肥大型心筋症
,
グリコーゲン蓄積
,
ウォルフ・パーキンソン・ホワイト(WPW)症候群
pp.371-376
発行日 2021年5月1日
Published Date 2021/5/1
DOI https://doi.org/10.32118/ayu27705371
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ダノン病はライソゾームの膜タンパク,LAMP2の機能異常により,オートファジー機能の低下からグリコーゲンをはじめとした物質がライソゾーム内に蓄積し臓器障害を呈する疾患で,X連鎖優性遺伝形式をとる.わが国では約20家系,40例が,世界でも約100家系しか報告されていない非常にまれな疾患である.男女ともに心筋障害は必発であり,心不全および不整脈など心症状の程度が予後を規定する.男性患者では10歳代で心筋症のほか,ミオパチー,精神遅滞の三主徴を呈し,20歳前後で死亡することが多い.一方,女性患者では主に心筋症のみを呈し,男性よりも発症年齢が遅く,30歳以降に症状が出現し,40~50歳前後に心不全や致死性不整脈で死亡する.確定診断には臨床症状と病理学的所見および遺伝子解析結果が必要で,ポンペ病やPRKAG2症候群が鑑別にあがる.治療は対症療法が主体で,根治療法としては臓器移植以外にはない.心室性不整脈が認められる患者にはβ遮断薬を導入し,植込み型除細動器(ICD)の適応を考慮することで不整脈による突然死を予防できる可能性がある.まれではあるが,二次性肥大型心筋症の原因として名前程度は知っておくとよい疾患である.
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