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特集 新規心不全治療薬の使い方
ベルイシグアト
Vericiguat
安斉 俊久
1
Toshihisa ANZAI
1
1北海道大学大学院医学研究院循環病態内科学教室
キーワード:
心不全
,
可溶型グアニリル酸シクラーゼ(sGC)刺激薬
,
一酸化窒素(NO)
,
血管内皮機能障害
Keyword:
心不全
,
可溶型グアニリル酸シクラーゼ(sGC)刺激薬
,
一酸化窒素(NO)
,
血管内皮機能障害
pp.285-290
発行日 2021年4月24日
Published Date 2021/4/24
DOI https://doi.org/10.32118/ayu27704285
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心不全患者においては,血管内皮機能障害に伴い一酸化窒素(NO)の生物学的利用能が低下しており,NOの細胞内受容体である可溶型グアニリル酸シクラーゼ(sGC)の活性低下に伴い,環状グアノシン3′,5′-1リン酸(cGMP)の産生が低下し,心不全の病態を悪化させる.sGC刺激薬は,細胞質内cGMP濃度を上昇させることでプロテインキナーゼG(PKG)を活性化させ,血管平滑筋細胞においては血管拡張作用をもたらすほか,心筋細胞においては心筋肥大・線維化を抑制する作用を発揮する.左室駆出率(LVEF)の低下した心不全(HFrEF)を対象とした第Ⅲ相臨床試験では,心不全に対する標準治療にベルイシグアトを追加投与することで,心血管死ならびに心不全入院からなる複合エンドポイントを10%有意に減少させることが明らかになった.心不全悪化を伴うHFrEFに対して,今後は標準治療の一部になるものと期待される.
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