Japanese
English
特集 冬眠研究の最前線――人工冬眠への挑戦
匂い物質による恐怖反応に伴う体温低下の神経メカニズム
The neural mechanisms of fear-related odor-induced hypothermia
櫻井 勝康
1
Katsuyasu SAKURAI
1
1筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構(WPI-IIIS)
キーワード:
恐怖
,
2-methyl-2-thiazoline(2MT)
,
体温低下
,
Fos遺伝子
,
Trpa1
,
外側傍小脳脚核(PBel)
,
視床下核(PSTh)
,
孤束核(NTS)
Keyword:
恐怖
,
2-methyl-2-thiazoline(2MT)
,
体温低下
,
Fos遺伝子
,
Trpa1
,
外側傍小脳脚核(PBel)
,
視床下核(PSTh)
,
孤束核(NTS)
pp.221-224
発行日 2021年4月17日
Published Date 2021/4/17
DOI https://doi.org/10.32118/ayu27703221
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われわれヒトを含む哺乳動物は外気温の変化に対して一定の体温を保つ恒温動物である.しかし,この一定に保たれている体温は,生命に危険を及ぼすような刺激,すなわち恐怖反応(情動,行動)を引き起こす刺激,に対して急激な変化を示す.この体温変化は,恐怖刺激に対して生物の生存確率を高めるための生存戦略のひとつであると考えられる.しかし,恐怖に伴う体温変化を制御する神経メカニズムの詳細は明らかにされていない.筆者らは,齧歯類に恐怖反応を引き起こす匂い物質,2-methyl-2-thiazoline(2MT),によって誘発される急激な体温低下(関西医科大学の小早川博士らによって発見)に着目し,その神経メカニズムの解明を行った.2MTに対して恐怖反応や体温低下を示さないマウスと野生型マウスとの比較,神経経路特異的な標識法や神経活動の操作法を用いた実験により,これまで報告されていなかった新規の神経経路,外側傍小脳脚核(PBel)-視床下核(PSTh)-孤束核(NTS)が2MTによる恐怖行動を伴う体温低下に関与していることを明らかにした.
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