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第1土曜特集 脳・神経系の感染症――診断と治療の最前線
脳・神経系の細菌感染症ほか
プリオン病
Prion diseases
浜口 毅
1
,
山田 正仁
1
Tsuyoshi HAMAGUCHI
1
,
Masahito YAMADA
1
1金沢大学大学院脳老化・神経病態学(脳神経内科学)
キーワード:
クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)
,
遺伝性プリオン病
,
獲得性プリオン病
,
医原性プリオン病
Keyword:
クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)
,
遺伝性プリオン病
,
獲得性プリオン病
,
医原性プリオン病
pp.135-140
発行日 2021年4月3日
Published Date 2021/4/3
DOI https://doi.org/10.32118/ayu27701135
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クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)に代表されるプリオン病は,脳における海綿状変化と異常プリオンタンパク(scrapie prion protein:PrPSc)蓄積を特徴とする感染症で,同種間あるいは異種間で伝播しうる.ヒトのプリオン病は,病因から孤発性CJD(sCJD),遺伝性プリオン病,獲得性プリオン病に分類され,その有病率は人口100万人当たり年間約1人とされている1).1996年3月に英国で変異型CJD(vCJD)が報告され,ウシ海綿状脳症(BSE)からの感染の可能性があることが発表されると,世界的に大きな社会問題となり,わが国でも1996年に厚生省研究班によりCJDの実態について全国調査が実施された.その調査では,vCJDの患者は見出されなかったが,脳外科手術時にヒト屍体由来の硬膜移植歴のあるCJDが多数存在していることが報告された2).その後,1999年4月からは全症例をブロック担当のサーベイランス委員が都道府県のCJD担当専門医の協力を得て実地調査するという現在の体制のCJDサーベイランス調査が開始され3),2020年9月までに3,860例のプリオン病患者が登録されている.また,その間も硬膜移植後CJD(dCJD)患者の発生は続き,2020年9月の段階で154例に達している.本稿では,わが国のプリオン病の臨床像と疫学について概説する.
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