Japanese
English
TOPICS 腎臓内科学
活性型ビタミンDは透析患者の心血管イベントを抑制するか?
Does active vitamin D suppress the risk of cardiovascular events in hemodialysis patients?
庄司 哲雄
1
Tetsuo SHOJI
1
1大阪市立大学大学院医学研究科血管病態制御学
pp.727-728
発行日 2021年2月13日
Published Date 2021/2/13
DOI https://doi.org/10.32118/ayu27607727
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腎不全,ビタミンDと心血管疾患
腎不全で透析治療を要する患者の心血管死亡リスクは,一般住民の10~30倍も高率であり1),古典的危険因子に加え非古典的危険因子の関与が想定されてきた2).そのなかで,腎不全に伴うビタミンDの活性化障害,および関連するリン・カルシウムの代謝異常は心血管疾患(cardiovascular disease:CVD)に寄与する重要な因子ではないかと考えられるようになった.主な根拠は観察研究であり,透析患者において活性型ビタミンD製剤(ビタミンD受容体作動薬;VDRA)の投与の有無で比較すると,VDRA非投与群に比較し,投与群は総死亡3),心血管死亡4),心血管イベント発症5)のリスクが有意に低いということが多数のコホート研究で報告されている.また,基礎研究からもVDRAには実験的に心保護効果,動脈硬化予防効果,免疫能調整効果などが示されており6),レニン-アンジオテンシン系を抑制する7)ことも示されていた.このような背景から,「活性型ビタミンDは血液透析患者の心血管イベントを抑制する」という仮説を立て,実証しようとしたのがJ-DAVID試験8)であった.
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