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特集 卵円孔開存の問題と新しい治療
卵円孔開存を有する潜因性脳梗塞に対する至適抗血栓療法
-――卵円孔開存閉鎖術後の管理も含めて
Antithrombotic therapy for cryptogenic stroke with patent foramen ovale, including the management after PFO closure
大木 宏一
1
Koichi OKI
1
1東京都済生会中央病院脳神経内科・脳卒中センター
キーワード:
卵円孔開存(PFO)
,
抗血栓療法
,
抗凝固療法
,
抗血小板療法
,
術後管理
Keyword:
卵円孔開存(PFO)
,
抗血栓療法
,
抗凝固療法
,
抗血小板療法
,
術後管理
pp.286-290
発行日 2021年1月23日
Published Date 2021/1/23
DOI https://doi.org/10.32118/ayu27604286
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経皮的卵円孔開存(PFO)閉鎖術がわが国でも承認されたが,一方で抗血栓療法がまったく不要になったわけではなく,閉鎖術と抗血栓療法をうまく組み合わせながら最適な治療法を選択する必要がある.PFOを有する潜因性脳梗塞に対する薬物療法としては,静脈血栓症を認める場合には抗凝固療法を行う.一方で,静脈血栓症を認めない場合における抗血小板療法と抗凝固療法の優劣に関しては,明確なエビデンスは得られていない.つまり,抗凝固療法は抗血小板療法より若干有効性が高い傾向はあるが有意差は認めないとする報告が多い.またそれらのメタ解析においては,抗凝固療法において有意に虚血性脳卒中が少ないという報告が多いが,有意差を認めないとするものもあり,一貫した結果が得られていない.現時点においては,年齢や再発リスクの高いハイリスクPFOの有無により,閉鎖術,抗血小板療法,抗凝固療法をうまく組み合わせて治療を行うことが妥当である.また,PFO閉鎖術施行後も抗血栓療法の継続が必要であるが,おおむね6カ月後までは閉鎖デバイスの血栓形成予防が目的であり,それ以降は長期的な管理における脳梗塞再発予防のための投薬となる.長期的管理における抗血栓療法の中止の可否に関するエビデンスは確立されておらず,個々の症例に応じて慎重に判断する必要がある.
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