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連載 臨床医が知っておくべき最新の基礎免疫学・第17回
自己免疫疾患発症機構に迫るMHCクラスⅡ分子の新たな機能
-――自己抗体の標的分子としてのミスフォールドタンパク質/HLAクラスⅡ複合体
A new function of MHC class Ⅱ in autoimmune diseases:misfolded proteins presented on MHC class Ⅱ molecules is a specific target for autoantibodies
森 俊輔
1
,
荒瀬 尚
1,2
Shunsuke MORI
1
,
Hisashi ARASE
1,2
1大阪大学微生物病研究所免疫化学分野
2大阪大学免疫学フロンティア研究センター免疫化学研究室
キーワード:
MHC
,
HLA
,
疾患感受性アレル
,
ミスフォールドタンパク質
,
Invariant chain分子
Keyword:
MHC
,
HLA
,
疾患感受性アレル
,
ミスフォールドタンパク質
,
Invariant chain分子
pp.235-240
発行日 2021年1月16日
Published Date 2021/1/16
DOI https://doi.org/10.32118/ayu27603235
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SUMMARY
自己免疫疾患の発症原因は依然として不明であるが,自己抗体の産生が大きな特徴として知られている.ゲノムワイド関連解析では,多くの自己免疫疾患でMHCクラスⅡアレルが最も疾患感受性に影響を与えることが確認された.しかし,特定のMHCクラスⅡアレルがなぜ自己免疫疾患に関与しているのかは不明であった.近年,筆者らはMHCクラスⅡ分子が小胞体内のミスフォールドタンパク質を細胞外へと輸送するシャペロンとして機能することを報告した.また,細胞外へ輸送されたミスフォールドタンパク質が,関節リウマチ,抗リン脂質抗体症候群やANCA関連血管炎などの自己免疫疾患にて産生される自己抗体の標的抗原になっていることを明らかにした.さらに,MHCクラスⅡ分子に提示されたミスフォールドタンパク質に対する自己抗体の結合能は,MHCクラスⅡアレルによる疾患感受性と非常に高い相関を示した.以上より,ミスフォールドタンパク質/MHCクラスⅡ分子複合体は異常な自己抗原 “ネオ・セルフ” としてさまざまな自己免疫疾患の発症に関与している可能性が考えられた.
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