ワンポイント解説
薬剤耐性白癬の新興感染
野口 博光
1
1のぐち皮ふ科
pp.938-940
発行日 2023年10月1日
Published Date 2023/10/1
DOI https://doi.org/10.24733/pd.0000003531
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米国では1992年にテルビナフィン,1993年にイトラコナゾールが承認され,2003年に世界で初めてテルビナフィン耐性Trichophyton rubrum(T.rubrum)が報告された1).この菌株は爪白癬患者1,432例中1例から分離されたもので,当時はまれな現象だとされた1).しかし,20年のときを経て世界中で薬剤耐性白癬のエンデミックが生じるようになり2),2020年インドの調査では耐性菌の頻度は78.1%(314/402)と報告された3).当院では2019年本邦初のテルビナフィン耐性T. rubrumによる爪白癬を経験した4).われわれは2020年に全国の複数の医療機関で調査を行い,分離菌の2.3%(5/210)にテルビナフィン耐性白癬菌を認めた5).さらに2022年の調査では1.0%(3/288)にイトラコナゾール耐性T. rubrumを検出した6).テルビナフィンとイトラコナゾールに耐性を獲得した白癬菌も経験した7).
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