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ご存知の通り,新型コロナウイルス感染症(coronavirus disease:COVID-19)は世界中でパンデミックを迎え,いまなお収束にはほど遠い.これを書いている現在,国内においても第二波の兆しがあり,今後の見通しも立たない状況である.
COVID-19(SARS-CoV2感染症)はウイルス感染症なのでどのような皮膚症状がみられても不思議はないのだが,症例を集積した論文をみると,非特異的な紅斑に加え,川崎病様症状,凍瘡様症状,血栓症・血管炎様症状などが比較的多いと報告されている1~5).
筆者は以前,機会があれば川崎病の皮膚症状について総説を書こうかと思ったこともある.その理由は,実際に症例を経験してきたこと以外にもいくつかあり,若いころ乾癬とスーパー抗原の研究をしていた時代に,スーパー抗原が原因ではないかと精力的に研究されている疾患が乾癬以外に多数あり,川崎病もその1つだった.『The Journal of Immunology』などの基礎の雑誌によく論文が出ていた.川崎病患者に乾癬様の皮疹がみられた報告も散見され,筆者自身,既往歴に川崎病がある小児の乾癬患者をみたこともある.まとまった報告としては,870名の小児川崎病患者のうち11例(1.3%)に乾癬様皮疹がみられたとされる6).その機序は,マクロファージ,好中球,CD8+T細胞の活性化や,TNF-α,NF-κB,IL-6,IL-17などの関与が想定されている7).
COVID-19の皮膚症状についての論文は,数カ月前の本誌編集委員会で企画の話が出たころは数本しかなかったが,その後急速に増え,これを書いている現在も週単位で爆発的に増えている.本稿では,現在までに得られた論文から,COVID-19の皮膚症状の特徴について述べる.すべてを拾い上げることは不可能で,漏れがあることを断っておく.
(「はじめに」より)
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