総説
遺伝性の表皮の疾患からみえてきたアトピー発症における皮膚バリアの重要性
山本 明美
1
,
岸部 麻里
,
本間 大
1旭川医科大学 皮膚科学教室
キーワード:
デスモソーム
,
遺伝性疾患
,
脂肪酸
,
皮膚炎-アトピー性
,
表皮
,
密着結合
,
Netherton症候群
,
Peeling Skin症候群
,
重症皮膚炎-多発性アレルギー-代謝性消耗症候群
Keyword:
Desmosomes
,
Dermatitis, Atopic
,
Epidermis
,
Fatty Acids
,
Tight Junctions
,
Genetic Diseases, Inborn
,
Netherton Syndrome
,
Peeling Skin Syndrome
pp.818-823
発行日 2017年8月1日
Published Date 2017/8/1
DOI https://doi.org/10.24733/J01268.2017324025
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アトピー性皮膚炎(AD)の主要な根本原因は皮膚バリア機能異常であると考えられるようになってきた。本稿では、表皮で発現するフィラグリン以外の皮膚バリア関連分子について概説した。さらに、それらの遺伝的異常による疾患(ネザートン症候群、炎症型ピーリングスキン病、SAM症候群、魚鱗癬未熟児症候群)とアトピー症状発症の関連性について解説した。皮膚バリア機能に関連する分子は多数あり、その異常によって著しくバリア機能が侵される疾患も知られている。代表例のひとつが辺縁体の形成を司る酵素であるトランスグルタミナーゼ1の変異によって生じる葉状魚鱗癬である。皮膚バリア機能が低下していてもADを発症する場合としない場合があるのはどのような理由によるのかは今後の大きな課題であり、これを明らかにすることでADの発症メカニズムをより正しく理解することができると思われる。
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