特集 陥凹する皮膚疾患
臨床例
pancreatic panniculitis
紙谷 祐衣
1
,
原田 和俊
,
三橋 善比古
1東京医科大学 皮膚科学教室
キーワード:
紅斑-結節性
,
鑑別診断
,
膵炎
,
生検
,
脂肪組織炎
,
皮膚疾患-下肢
Keyword:
Biopsy
,
Diagnosis, Differential
,
Erythema Nodosum
,
Leg Dermatoses
,
Pancreatitis
,
Panniculitis
pp.625-628
発行日 2014年7月1日
Published Date 2014/7/1
DOI https://doi.org/10.24733/J01268.2014295759
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<症例のポイント>pancreatic panniculitis(以下、PP)は、膵疾患と関連して皮下脂肪織炎や脂肪壊死をきたすまれな疾患である。膵炎などに伴い膵管内圧が上昇し、膵から逸脱した蛋白分解酵素が血行性・リンパ行性に皮下脂肪織に到達して脂肪壊死をひきおこすと考えられている。PPの臨床所見像は、下腿に圧痛を伴う比較的境界明瞭な紅色から紅褐色の紅斑、結節が多発する。膵疾患の改善とともに皮疹は消褪し皮膚の陥凹や萎縮性瘢痕を形成して治癒する。自験例では皮膚の陥凹は目立たなかったが、その理由として膵炎が軽度で、そのため膵酵素の逸脱も軽度であったことがあげられる。自験例では病理組織学的に好酸球が多数脂肪織内に浸潤していた。これまでのPPの報告例に好酸球浸潤についての記載はないが、膵炎に伴う末梢血中の好酸球の増加が原因と考えられた。脂肪織への好酸球浸潤の原因の1つとして膵疾患もあげるべきである。
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