特集 女児生殖器・会陰部関連疾患のすべて
人工子宮
齋藤 昌利
1,2,3
Masatoshi Saito
1,2,3
1東北大学大学院医学系研究科産科学・胎児病態学分野
2東北大学大学院医学系研究科周産期医学分野
3東北大学大学院医学系研究科婦人科学分野
pp.738-741
発行日 2025年7月25日
Published Date 2025/7/25
DOI https://doi.org/10.24479/ps.0000001257
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はじめに
皆さんご存知のように,わが国ではいわゆる晩婚化と高齢出産化がじわじわと進行している。さまざまな社会的要因が複雑に関係し,この状況を生み出しているものと考えられているが,われわれ周産期医療に従事する者にとって,この状況によって副次的に生じている妊娠・分娩の「ハイリスク化」が大きな課題になりつつある。つまり,合併症を有した状態で妊娠に移行する「合併症妊娠」の症例の増加や,妊娠を契機に妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病といわれる将来の生活習慣病に関連の深い状態になってしまう「妊娠合併症」症例の増加が周産期医療現場で顕在化している。これらのいわゆる「ハイリスク妊娠」「ハイリスク分娩」によってもたらされる問題の一つとして早産がある。現在の新生児医療は目覚ましく発展し,多くの早産児が救命できるようになってきたが,それでも妊娠22~24週頃までの「生育限界」といわれる新生児の救命率は依然として低いままである。われわれはこの「生育限界児」の救命治療の一つとして「人工子宮」の可能性について研究を継続しており,誌面を借りて紹介させていただく。

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