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診療メモ
人工妊娠中絶術及び子宮内膜掻爬術に関するメモ
Memo on the technics of artificial interruption of pregnancy and abrasio mucosae
清水 直太郎
1
Naotaro Shimizu
1
1九州大学温泉治療学研究所産婦人科
pp.623-628
発行日 1959年7月10日
Published Date 1959/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409202003
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人工妊娠中絶術並びに子宮内膜掻爬術は産婦人利医にとつては極めてありふれた手術で慣れているが,数多い中には相当苦労するものがある。殊に妊娠5〜7ヵ月の中期の中絶術は従来困難なものとされており,屡々専門誌にその臨床経験が報告されている。終戦後間もなく紹介されたアブレル氏法が,妊娠中期の中絶に著効があるとして当初大きな期待をかけたが,その後母体の死亡例が報告されて危険なことが判り,今日では実地医界から全く抹殺された。現今,妊娠中期の中絶法として最も広く実用されている方法の1つは卵膜外注入法であろう。これは著者が昭和24年6月,群馬大学在職当時に妊娠5ヵ月例に生理食塩水100mlをゴム・カテーテルで卵膜外に注入して,7時間25分で流産させることに成功し,昭和25年3月にその成績を発表(臨床婦産,4巻3号並びに医学通信,5年202及び203号)して以来,種々の工夫が加えられて次第に広く行われるようになつた。著者は妊娠に浮腫等の腎障碍の症状があるか,またその既往症があればブドウ糖液を注入するが,それ以外では主として生理食塩水を用い,他の陣痛催起法を併用している。カテーテルは内子宮口の大さに適した太さのもので,挿入時に内子宮口で軽い抵抗を感ずるものでないと,注水直後乃至間もなく漏水することがある。
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