特集 小児医療者のための虐待の知識
子ども食堂
加藤 雅江
1,2
Masae Kato
1,2
1杏林大学保健学部健康福祉学科
2地域の活動から見える子どもたちの姿・子育て支援のカタチ
pp.1136-1138
発行日 2024年11月25日
Published Date 2024/11/25
DOI https://doi.org/10.24479/ps.0000001002
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はじめに
ソーシャルワーカーとして30年,大学病院で働いていた。特に救命救急センターで体験したことが現在の自分自身の活動の核となっている。救命救急センターでは,「困りごと」を整理しなければ治療が成り立たない現実があった。特に,自殺未遂で運ばれる患者の「困りごと」に触れるとき,その背景にある生きづらさが多くの場面で垣間みられた。その生きづらさを生み出しているのは子ども時代の逆境体験に他ならない。脈々と続く「困りごと」が未解決のまま次の「困りごと」を生み出していく。患者の語りのなかからみえてくるのは,子ども時代に子どもらしく育つ環境を用意されていなかった生活である。子どもたちのよりどころとなるべき家庭や学校・地域に余裕がなく,支援やサポートが届いていない状況がみえてきた。大人も子どもも孤立してしまっている地域のありようもかすかに感じ取ることができた。
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