連載 作業療法を深める ⑱子ども食堂
子ども食堂
金子 淳子
1
Junko Kaneko
1
1金子小児科
pp.448-452
発行日 2018年5月15日
Published Date 2018/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001201280
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はじめに:子ども食堂と子どもの貧困
「子ども食堂」という言葉を聞いて,皆さんはどのようなイメージをもたれるだろうか.
子ども食堂という呼び名の始まりは2012年(平成24年)にさかのぼる.東京都大田区の八百屋の店主,近藤博子さんが,朝ごはんや晩ごはんをあたり前に食べられない子どもの存在を知り,そのような子どもたちが安心して来ることのできる食堂「きまぐれ八百屋だんだん」を始めた,これを「こども食堂」と呼んだことが先がけとされている.
時期をほぼ同じくして,2013年(平成25年)には子どもの貧困対策推進法が成立した.子どもの貧困に対する社会的注目の高まりのなかで,子ども食堂は学習支援と並ぶ子どもの貧困対策の主要プログラムとなっていく.メディアでしばしば取り上げられたこともあり,子ども食堂の社会的認知は高まった.同時に,子ども食堂といえば貧困家庭の子どもを集めて食事をさせる所,といったイメージができあがったように思われる.
その後,子ども食堂は明確な定義や枠組みがないまま,その敷居の低さ,とっつきやすさから,「子どもたちのために何かしたい!」という思いを形にするための一つの手法・ツールとして広がった.そのために,子ども食堂がどのようなものかを巡っては,混乱もあり,多くの疑問や戸惑いを生んでいるのが現状であるといえよう.
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