特集 教科書にない小児外科疾患の最新情報―国内外の文献・ガイドラインから―
腸回転異常症
伊勢 一哉
1
Kazuya Ise
1
1山形県立中央病院小児外科
pp.570-573
発行日 2024年6月25日
Published Date 2024/6/25
DOI https://doi.org/10.24479/ps.0000000840
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はじめに
小児における腸回転異常症は,新生児期に中腸軸捻転を起こし胆汁性嘔吐で発症することが多い。乳幼児期では,腸重積症など腸閉塞症状をきたす種々の疾患との鑑別を要し,年長児では慢性症状を呈し診断に難渋することがある。診断や治療が遅れることで腸管の虚血範囲が広がり,大量腸管切除を余儀なくされることがある。診断には腹部超音波検査(US)や上部消化管造影(UGI)などが行われ,画像検査の組み合わせは鑑別疾患や施設条件により異なる。治療はLadd手術が行われ,小腸を右側に大腸を左側に配置するため,予防的虫垂切除や腸管固定手術が追加されることがある。腹腔鏡下手術や,大量腸管切除を回避するためのsecond look operationについては,実施可能な施設でのみ行われているのが現状である。
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