特集 教科書にない小児外科疾患の最新情報―国内外の文献・ガイドラインから―
漏斗胸・鳩胸
植村 貞繁
1
,
中岡 達雄
2
Sadashige Uemura
1
,
Tatsuo Nakaoka
2
1西宮渡辺心臓脳・血管センター漏斗胸治療センター
2大阪公立大学小児外科
pp.543-548
発行日 2024年6月25日
Published Date 2024/6/25
DOI https://doi.org/10.24479/ps.0000000834
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はじめに
漏斗胸(pectus excavatum)は前胸部の陥凹による整容性の問題とともに,心臓や肺の圧迫に伴う胸痛や動悸,呼吸困難など自覚症状がみられる症例が多いことから,治療が必要な疾患として,これまでにさまざまな検討が重ねられてきた。1998年に漏斗胸に対するNuss手術が発表され1),現在では標準的な手術法として世界各国で行われるようになった。わが国でも小児外科施設のみではなく,形成外科や胸部外科の領域でも広く行われている。一方,Nuss手術における合併症は初期のころに多くみられ2),現在も手術の安全性が模索されている3)。また,バキュームベルを用いたより低侵襲な治療も行われている4)。鳩胸の治療もNuss手術からの着想で低侵襲手術が開発され5),さらに装具を用いた治療6)へと発展している。
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