特集 喉頭・気管病変 治療の工夫と予後
小児気管切開術の合併症とその対応
有本 友季子
1
Yukiko Arimoto
1
1千葉県こども病院耳鼻咽喉科
pp.1036-1040
発行日 2023年10月25日
Published Date 2023/10/25
DOI https://doi.org/10.24479/ps.0000000596
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
- サイト内被引用
はじめに
小児の気管切開は,気道狭窄に対する気道確保を目的に行われる場合と,長期的な呼吸管理のために行われる場合がある。気道狭窄症例には,頭蓋顔面奇形や腫瘍などの腫瘤性病変による上気道狭窄症例,咽頭軟化症や喉頭軟弱症のように動的な上気道狭窄症例,声門下狭窄のような下気道疾患症例がある。気管軟化症のような下気道病変では陽圧換気を要し,長期的な呼吸管理を目的として気管切開となる。神経筋疾患や代謝疾患,脳腫瘍などによる呼吸障害症例や誤嚥性肺炎反復例,循環器疾患の影響で呼吸管理を要する症例など,気管切開症例の背景因子は多岐にわたる。近年の新生児医療の向上や在宅医療の高まりのなかで,気管切開症例は新生児から成人年齢を迎えた重症心身障碍児(者)までと年齢も幅広く,長期的な管理を行うなかで合併症を生じ管理に難渋する例は少なくない。
© tokyo-igakusha.co.jp. All right reserved.