特集 希少固形がんの診断と治療
ラブドイド腫瘍の診断と治療
勝見 良樹
1
Yoshiki Katsumi
1
1京都府立医科大学小児科
pp.863-870
発行日 2023年8月25日
Published Date 2023/8/25
DOI https://doi.org/10.24479/ps.0000000545
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Ⅰ.概 念
ラブドイド腫瘍(RT)は体のあらゆる部位に発生しうる未分化な固形腫瘍である。特に中枢神経と腎に好発し,複数の臓器に同時発生することもある。90%以上の症例において,SWI/SNF複合体のコアサブユニットでがん抑制遺伝子であるSMARCB1/INI1/hSNF5/BAF47(以下,SMARCB1)の異常が腫瘍において検出される1)。また,数%の症例では同じ複合体に属するSMARCA4/BRG1の異常が検出される2)。SMARCB1の異常は腫瘍細胞だけでなく,生殖細胞系列での変異が約35%のRT症例で報告され3),その一部に家族性の発症を認めることが報告されている4)。生殖細胞系列での変異の認められる症例は,遺伝性腫瘍の一つであるラブドイド腫瘍好発症候群(rhabdoid tumor predisposition syndrome)と呼ばれる。いずれの部位に発生した場合も予後は不良であり,まだ治療プロトコルは確立されていない。なお,生殖細胞系列での変異のある症例は,より発症時期が早い傾向にあり,他のRT症例と比較してさらに予後が悪い。
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