特集 急性虫垂炎:診断,治療,研究
診療初期段階における小児複雑性虫垂炎の予測因子
宮内 玄徳
1,2
,
大片 祐一
2
,
畠山 理
3
,
尾藤 祐子
2
Harunori Miyauchi
1,2
,
Yuichi Okata
2
,
Tadashi Hatakeyama
3
,
Yuko Bitoh
2
1兵庫県立はりま姫路総合医療センター小児外科
2神戸大学医学研究科外科学講座小児外科学分野
3兵庫県立こども病院小児外科
pp.714-720
発行日 2023年7月25日
Published Date 2023/7/25
DOI https://doi.org/10.24479/ps.0000000506
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はじめに
複雑性虫垂炎は,病理組織学的分類の壊疽性以上に相当する重症の虫垂炎である。急性虫垂炎は,その重症度によって予後が変わりうる1,2)ため,早期に複雑性虫垂炎を鑑別し,適切な治療を選択することが必要である。十分な経験をもつ小児外科医は,小児の複雑性虫垂炎を高い精度で鑑別できると報告3,4)されているが,診療初期段階で複雑性虫垂炎を確実に鑑別する確立した方法はなく,現状では診察医が診察・検査から得た所見を統合し,経験的に正しい診断を導くことが求められている。しかし,実際に診療初期段階で診療に当たるのは,比較的経験の浅い医師や小児外科医以外であることも多いと思われ,初期には正確に診断されない症例が存在する5)。
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