特集 今日の小児肝移植
世界における臓器移植の展開
笠原 群生
1
Mureo Kasahara
1
1国立成育医療研究センター
pp.588-591
発行日 2023年6月25日
Published Date 2023/6/25
DOI https://doi.org/10.24479/ps.0000000472
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はじめに
世界における小児臓器移植の歴史は比較的長く,1950年代に開始された医療である。世界初の小児腎移植は1952年12月23日にパリで16歳の外傷性腎損傷の男児に実施された。生体腎移植で術後21日で死亡している。世界初の小児肝移植は1963年3月3日米国デンバーで胆道閉鎖症の3歳女児に脳死移植で実施され,術中出血がコントロールできず死亡している。小児小腸移植はボストンで1964年に実施され術後12時間で死亡,小児心臓移植は1967年12月6日にニューヨークで0歳のEbstein奇形患者に実施され術後6時間で死亡している1)。黎明期の移植医療は非常に成績が悪く,一般医療となったのは1980年代の免疫抑制剤のサイクロスポリンおよび1993年に日本産のタクロリムスの導入により成績向上が認められてからである。小児脳死移植は世界で肝移植約2,700例,腎移植1,300例,心臓移植700例,肺移植100例,小腸移植50例が年間実施されている。
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