特集 ロボット支援手術
hinotoriTMサージカルロボットシステム
日向 信之
1
Nobuyuki Hinata
1
1広島大学大学院医系科学研究科腎泌尿器科学
pp.478-481
発行日 2023年5月25日
Published Date 2023/5/25
DOI https://doi.org/10.24479/ps.0000000434
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はじめに
わが国は世界第二位の手術支援ロボットの設置・稼働台数を誇り,保有台数についてはロボット手術大国といえる。しかしながら,手術支援ロボットの開発から販売までには,コンセプト設定,市場調査,試作開発,知的財産対応,非臨床試験,臨床試験,安全規制対応,保険収載,量産化,販路開拓,市販後の管理など多岐にわたるステップが必要となり,さらに医療業界への参入障壁の高さや,人命に関わるため供給責任が問われることから,わが国では企業による手術支援ロボットの開発は行われてこなかった。このことから,手術支援用ロボットをはじめとする医療機器事業は今後も高い市場成長率が見込まれる大規模市場であると考えられているにもかかわらず,これまで診療に使用される医療機器に関しては輸入超過の状態が継続しており,直近の輸入金額は2兆7,230億円,輸出金額は1兆91億円であり,さらに輸入超過金額は年々増大する傾向にある。国内総生産(GDP)4.9兆ドル(2021年時点)と,依然として世界第3位の座を占めてはいるもの,その経済力が年々凋落傾向にあることが指摘され,さらに将来的にはGDPの低下傾向が予測されているわが国において,このことは大きな問題とされてきた。
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