特集 高位・中間位鎖肛手術術式の成績と問題点アップデート
鎖肛術後遠隔期における生殖機能評価の現状
安井 良僚
1
,
中村 清邦
1
,
廣谷 太一
1
,
田村 亮
1
,
河野 美幸
1
,
岡島 英明
1
Yoshitomo Yasui
1
,
Kiyokuni Nakamura
1
,
Taichi Hirotani
1
,
Ryo Tamura
1
,
Miyuki Kohno
1
,
Hideaki Okajima
1
1金沢医科大学小児外科
pp.740-744
発行日 2022年7月25日
Published Date 2022/7/25
DOI https://doi.org/10.24479/ps.0000000190
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はじめに
生殖機能とは妊孕性ととらえられ,主に男性は精巣機能および勃起,射精といった性機能を,女性は卵巣機能や内性器機能を指す1)が,広義には性欲や性行為における満足感など非常に主観的な要素をも内包する。高位・中間位鎖肛(以下本疾患)に対し,手術技術の進歩により良好な排便機能が得られるようになってきた現状において,生殖機能が患者の成人後の生活の質(QOL)に関わる重要な因子となってきた。これまでに本疾患に生殖機能異常が合併しうることは小児外科医に広く認識されていたが,その評価法や対処法は確立されていない。欧州からの報告では,82%の小児外科医が性機能について患者と話すべきと考えているが,これらの問題の対処に50%以上が全く,またはあまり自信がないと答えており2),長期フォローを要し,非常にデリケートな問題のためであろうと考えられる。
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