特集 手こずつた症例―私の経験した診断治療上の困難症(Ⅱ)
鎖肛
石橋 幸雄
1
1東京大学
pp.893-894
発行日 1962年8月20日
Published Date 1962/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407202963
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鎖肛の手術はその程度や種類によつて難易があるが,異常開口を有する鎖肛の治療は慎重に計画しないと失敗することがある.ここに紹介する1例は腟直腸瘻,膀胱腟瘻を合併した鎖肛で,相当難行したのでとりあげて見た.
患者は昭和29年12月5日生れの女子で,お産は順調であつたが,元気がなく,3日間お乳をのまなかつた.チアノーゼがあり,某病院に約1週間入院して,酸素吸入などをうけた.その後1週位たつて,大便の出が少いこと,而も本来の肛門の位置から便が出ていないことに気付き,再入院してレントゲン検査をうけ,直腸—腟瘻を合併する鎖肛と診断された.同病院から大学の外科外来に紹介されて来た.
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