特集 子どもの栄養ケアを見直す─分野の垣根を越えて
各論 疾患別の対応
鉄欠乏性貧血(幼児期から思春期まで)―成長段階と生活背景をふまえた栄養ケア
早川 潤
1
Jun Hayakawa
1
1日本医科大学武蔵小杉病院小児科
pp.824-828
発行日 2026年6月1日
Published Date 2026/6/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000003031
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
鉄欠乏性貧血(iron deficiency anemia:IDA)は小児期にもっとも頻度の高い栄養障害であり,とくに成長著しい幼児期と思春期に発症のピークを有する。軽症では自覚症状に乏しいことも多いが,近年の研究では,貧血にいたる前の潜在性鉄欠乏(iron deficiency:ID)の段階であっても,成長,精神運動発達,学習能力,さらには情動面や生活の質(QOL)など多方面に大きな影響を及ぼすことが明らかになってきた1,2)。一方,日常診療では「よくある,ありふれた疾患」として見過ごされ,ヘモグロビン(Hb)の値のみで判断し,貧血をきたす他疾患を鑑別することなく,漫然と鉄剤投与されている症例も少なくない。また鉄欠乏は単なる貧血ではなく,その子どもの食事習慣,生活環境,さらには発達段階に固有の課題を映し出す鏡でもある。

© tokyo-igakusha.co.jp. All right reserved.

