特集 貧血と諸疾患の機序を探る
鉄欠乏性貧血
中前 美佳
1
1大阪市立大学大学院医学研究科臨床検査・医療情報医学 准教授
キーワード:
鉄欠乏性貧血
,
鉄欠乏
,
鉄制御機構
,
炎症
,
鉄吸収
Keyword:
鉄欠乏性貧血
,
鉄欠乏
,
鉄制御機構
,
炎症
,
鉄吸収
pp.9-13
発行日 2021年11月20日
Published Date 2021/11/20
DOI https://doi.org/10.34449/J0001.39.11_0009-0013
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貧血[世界保健機関(WHO)基準でヘモグロビン(hemoglobin:Hb)男性<13mg/dL,女性<12mg/dL,妊婦・小児<11mg/dL]は頻度の高い疾患であるが,そのなかでも鉄欠乏性貧血(iron deficiency anemia:IDA)は最も割合が高い。特に,わが国は欧米より頻度が高く,成人女性では約20~25%が罹患しているとされる1)。また,鉄欠乏はIDAの前段階であるが,わが国の調査(平成21年)によると,鉄欠乏(フェリチン<15ng/mLとする)は男性で約3%,女性で約23%であり,20~49歳の女性に限ると約48%であった。女性において相当高い割合で鉄欠乏もしくはIDAをもっていると推測される一方,20~49歳女性の鉄剤などの貧血治療薬の服用割合は約2~3%である2)3)。近年,単なる生存年数ではなく健康寿命という概念が重要視されるが,高齢者においてもIDAは重要な問題であり,障害生存年数(死亡まで至らないが障害により健康な生活が失われた年数)に寄与する5大疾患の1つ(女性では第一の原因)となっている4)。「KEY WORDS」鉄欠乏性貧血,鉄欠乏,鉄制御機構,炎症,鉄吸収
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