特集 On-the-Job Trainingのコツ―後輩にどう教える?
OJTのGood practice
総合診療における小児科教育の現状
高村 昭輝
1
TAKAMURA Akiteru
1
1富山大学附属病院総合診療科
pp.1198-1201
発行日 2025年9月1日
Published Date 2025/9/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000002565
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総合診療研修における小児科研修プログラム
日本専門医機構の総合診療専門研修における小児科研修は制度上,3年間の研修期間のうち,1.小児科研修:3か月,2.総合診療専門研修Ⅰ(診療所,小病院での研修):6~12か月で実施されることになっている1)。総合診療専門研修Ⅰでは,診療所や小病院など小児が外来に受診することが予想される場面での研修となり,研修中は小児科診療に継続的にかかわることができることが期待されている。しかし,諸外国に比べ日本の実情として,小児科医が開業し,診療所を運営していることが多いこともあり,小児科医による診療所ではなく,小児科医がいない診療所での研修の場合,そもそも小児の受診がほとんどないことも多い。診療所研修における診療所の研修施設としての要件も小児の受診についてそれほど厳しい設定ではない。また,現在は都市部を離れた郊外の小病院でも小児科常勤医がいることもまだまだ多く,そのような医療機関での総合診療専門研修は意図的に週間スケジュールのなかに小児科診療を設定しないと小児を診ないまま過ごす(診るとしても夜間や休日の時間外救急のみ)ことも少なくない。総合診療専門医は小児のプライマリ・ヘルス・ケアに参画することを期待されており,当然,総合診療専門医になるための研修には小児科研修が必須となっているが,それが実を伴うものになっているのかという疑問が残る。そうであることから,実質は多くのプログラムにおいては小児科研修の3か月が小児医療をしっかりと学ぶ期間といえる。では,どのようなことを学ぶべきなのだろうか。

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