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特集 小児臨床検査2024
XIII.感染症検査
1.総論 5)ウイルス分離・同定検査
Virus isolation and confirmation
吉川 哲史
1
Tetsushi Yoshikawa
1
1藤田医科大学医学部小児科学
キーワード:
活動性感染
,
細胞変性効果
,
感受性細胞
Keyword:
活動性感染
,
細胞変性効果
,
感受性細胞
pp.522-524
発行日 2024年10月25日
Published Date 2024/10/25
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000001998
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1 ウイルス分離の意義と適応
ゲノムサイズの小さいウイルスが自己複製するには,宿主細胞のさまざまな機能を利用する必要がある。つまり,ウイルスは細菌と異なり無細胞培地で増殖することはできない。ウイルスの中には潜伏感染とよばれる自己の遺伝子複製,タンパク合成を停止し宿主免疫機構から逃れ,ゲノムだけを維持する感染様式がある。また,宿主染色体ゲノムに自身のウイルスゲノムを挿入し,宿主細胞の複製に沿って自身のゲノムを複製するレトロウイルスも存在する。このような場合,近年ウイルス検査の主流となっているpolymerase chain reaction(PCR)法をはじめとする分子生物学的診断法を用いた場合,ウイルスの活動性感染が起きているか判定が困難なことがある。それに対し,ウイルス分離,ペア血清を用いた血清学的診断法は,ウイルス活動性感染の正確な指標となる。
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