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特集 小児臨床検査2024
Ⅶ.血液生化学検査
2.蛋白,膠質反応および関連物質 6)血中アンモニア,血漿・尿アミノ酸分析
Plasma ammonia and amino acids profile(urine and plasma)
松本 志郎
1
,
城戸 淳
1
,
中村 公俊
1
Shiro Matsumoto
1
,
Jun Kido
1
,
Kimitoshi Nakamura
1
1熊本大学大学院生命科学研究部小児科学講座
キーワード:
高アンモニア血症
,
尿素サイクル
,
アミノ酸代謝
Keyword:
高アンモニア血症
,
尿素サイクル
,
アミノ酸代謝
pp.190-194
発行日 2024年10月25日
Published Date 2024/10/25
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000001914
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Ⅰ.アンモニア(NH3)
1 検査の意義と適応
NH3は強い神経毒性があるため,意識障害の原因となる。そのため,生体には解毒機構(尿素回路)が備わっており,産生したNH3を肝臓で尿素に変換し,腎臓から尿中に排泄して常に一定の安全域に維持されている。健康な人の血中NH3は,腸内細菌が産生するNH3とタンパク質代謝の過程で脱アミノ化によって生じたNH3が主な供給源となる。そのため血漿NH3濃度は,① タンパク質の過剰摂取,② 全身の代謝状態(高熱などでの異化の亢進),③ 肝臓におけるNH3の解毒障害(肝臓の尿素サイクル機能異常),④ 肝臓以外でのNH3産生増加(腎臓,骨格筋),⑤ 消化管内細菌によるNH3産生亢進が単独,もしくは組み合わさって上昇する。この ①~⑤ の病態でNH3が上昇する疾患が適応となる(表1)。高アンモニア血症が進行すると昏睡状態となり,死にいたることもある。そのため,意識状態から疑ったら,可能な限り早期に検査する必要がある。また,診断だけでなく治療コントロールを判定するバイオマーカーとして血中NH3濃度を把握することが重要になる。
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