症例
近隣地域で発生した同一polymerase chain reaction-based open reading frame typing(POT)型による市中感染型methicillin-resistant Staphylococcus aureus感染症の小児例
増田 景子
1
,
黒川 麻里
1
,
安部 朋子
2
,
李 守永
1
MASUDA Keiko
1
,
KUROKAWA Mari
1
,
ABE Tomoko
2
,
LEE Sooyoung
1
1国立病院機構福岡東医療センター小児科
2福岡市立こども病院検査部
pp.875-879
発行日 2024年5月1日
Published Date 2024/5/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000001694
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
近年増加している市中感染型メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(community-acquired methicillin-resistant Staphylococcus aureus:CA-MRSA)は,院内感染型MRSA(hospital-acquired MRSA:HA-MRSA)と異なり,入院歴などリスクのない患者から検出される。Naimiらの報告では,HA-MRSAは ① 入院48時間以降にMRSA感染が確認される,② MRSAが検出された1年以内に入院,手術,透析,長期療養施設での滞在歴がある,③ MRSA検出時に永久留置カテーテルまたは経皮医療器具が存在する患者,と定義されており,1つも該当しない場合はCA-MRSAとされる1)。CA-MRSAは,若年者や小児で皮膚・軟部組織感染症(skin and soft tissue infection:SSTI)を起こすことが多いが,米国で多く検出されるUSA300株はPanton-Valentine leucocidin(PVL)を産生し,致死的な感染症を起こすことで知られる2)。従来日本ではまれとされていたUSA300を中心とするPVL産生CA-MRSAは近年増加傾向にある3)。
© tokyo-igakusha.co.jp. All right reserved.