特集 完全把握をめざす小児の心疾患
先天性心疾患(各論)
冠動脈起始異常
永田 弾
1
NAGATA Hazumu
1
1九州大学病院小児科
pp.548-550
発行日 2024年4月1日
Published Date 2024/4/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000001605
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はじめに
小児における冠動脈異常は先天性と後天性に分けられ,後者の多くは川崎病後遺症としての冠動脈瘤である。先天性冠動脈異常は人口の0.5~3%という報告もあり1),まれではあるものの小児循環器の日常診療において時折遭遇しうるといえる。冠動脈異常は生命にかかわるイベントをひき起こす可能性が高く,その意味でも重要な疾患であり,鑑別疾患として知っておかなければならない。また,問診や心電図異常も診断の契機になる可能性があり,学校心臓検診においても着目すべき疾患である。冠動脈は心外膜の毛細血管の集合から発生するといわれており,冠動脈原基が大動脈へ開口するのが正常である。先天性冠動脈異常は細かく分類されており,その分類によって重症度も異なる。その多くが,起始や走行に異常をきたしているものであり,左冠動脈肺動脈起始(anomalous left coronary artery from the pulmonary artery:ALCAPA)(図1A),右冠動脈左冠動脈洞起始(図1B)がその代表である。
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