特集 これからの学校医~いろいろな子ども集団との連携
各論
アレルギー・生活習慣指導 学校生活管理指導表(食物アレルギー欄)とエピペン®注射指導
濵野 翔
1
HAMANO Sho
1
1ベスタこどもとアレルギーのクリニック
pp.381-384
発行日 2024年3月1日
Published Date 2024/3/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000001563
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はじめに
アレルギー疾患を有する学童の割合はここ数十年で著しく増加しており,日本では34.7%の小中学生が1つ以上のアレルギー疾患に罹患していると報告されている1)。この患者数の増加を背景に,平成27(2015)年にはアレルギー疾患対策基本法が施行され,医師や学校がアレルギー疾患の重症化の予防および症状の軽減に寄与,協力するよう求められた。したがって,アレルギー疾患を有する児が集団生活をおくるに際し,学校職員,主治医,保護者の間で患児の正確な情報を把握・共有し,患児がアレルギー症状を起こさぬよう,また症状が出現しても適切に対応できるように努める必要がある。患児の保護者が学校生活において,アレルギー疾患に対し,特別な配慮や管理を希望した場合は「学校のアレルギー疾患に対する取り組みガイドライン」2)に従い,学校生活管理指導表(アレルギー疾患用)を学校に提出する必要がある。また2019年に「保育所におけるアレルギー対応ガイドライン」3)が改訂され,保育所では「保育所におけるアレルギー疾患生活管理指導表」を使用することとなった。この生活管理指導表は保護者の希望により,かかりつけの医師が作成する。また「アナフィラキシーガイドライン2022」4)によると,日本で食物アレルギーがある児は4~5%程度であり,そのうちアナフィラキシーを有する児は小学生0.6%,中学生0.4%とまれではない。アナフィラキシーの第1選択薬であるエピペン®は,患者自身や家族,学校の教員が使用することのできる注射薬である。患児にエピペン®が必要となった際に適切に投与がなされるよう,外来受診時に使用法などを指導する必要がある。
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