CURRENT RESEARCH
受精と卵表層反応
田坂 慶一
1
1大阪大学医学部産婦人科
pp.91-97
発行日 1997年1月10日
Published Date 1997/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902815
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私の研究は下垂体ゴナドトロピン分泌から始まった.方法論の変遷により血液中のゴナドトロピンの測定,ラットを使った下垂体の器官培養による研究ののち米国衛生研究所Catt博士のもとで細胞培養による研究とともに蛍光顕微鏡を用いた細胞内カルシウム測定を修得し帰国した.帰国後は蛍光顕微鏡を用いた単一細胞当たりの細胞動態に関する研究をはじめた.そのなかで蛍光顕微鏡を用いた単一細胞のホルモン分泌の観察に成功した.この蛍光色素を用いたエキソサイトーシスの研究は内分泌だけでなくあらゆる細胞に応用できることから,エキソサイトーシスのモデルである受精現象における表層反応のメカニズムに関する研究に入っていった.そのころちょうど低分子量G蛋白細胞機能に関する研究で著名な本学分子生理化学高井義美教授と共同研究する機会を得て下垂体とともに卵の受精時の表層反応におけるRab-Rabph—lin系作働の研究を始めた.最近はこの系以外の分泌に関するさまざまな蛋白が同定されており,それらの機能についても順次研究を進めている.また,近年話題となっている細胞の極性に関する研究も進めていきたいと思っている.
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